今思えば、貴方は手を伸ばしても届かない存在だったのに。でも今は手を届く。触れることができる。話し掛けることができる。どれだけ幸せなことでしょう。でも、きっと貴方はあたしのことを玩具としか思っていないでしょう。それでもいいの。それでもいいの。



嘘の愛でも、愛の言葉をいってくれるのなら。




貴方に堕ちてゆく




きっと、貴方はあたしのことを愛してくれるはずがなかった。こんな仕事さえしっかりできないあたしを。愛して、愛して、といっても意味がない。そんなことをいったら、貴方はニヤッと笑って噛み付くように唇を重ねるだろう。痛い思いをするだけだろう。ただ、貴方は面白がってあたしと“遊び”をしているんだ。だから、あたしも本気になってない振りをする。本気だってわかったら、きっとこのゲームは終わってしまうから。今日もそんな時間が始まる。あたしの中で、幸せな時間も最悪な時間も、両方くる時間だ。


「・・・オイ、仕事を終わったか?」
「はい、終わりました、日番谷隊長」
「・・・なぁ、いい加減終わりにしようぜ」
「何をですか」
「こんな関係ってことだよ。・・・いい加減、気持ち悪くなってくんだよ」


どうして、このままでいいといったのは貴方のほうじゃないか。あたしはこのままがいい。捨てられるくらいなら今のままがいい。そんなことをうったえても意味がない。だって、そうだもの、どうせあたしの前には現われてくれなくなる。また、届かない存在になってしまう。いやだいやだいやだ。好きじゃなくても愛してなくてもいい。好きの感情なんていらないから、一緒にいて。そうすれば、あたしは幸せ。貴方が幸せになれるかわからないけれど。ねぇ、あと少し。あたしが死ぬまで、お願い。


「・・・何、なきそうな顔してんだよ」
「なんでもないです」
「なぁ、誰かから男の前で、そういう顔しちゃいけないって、いわれなかったか」
「・・・知りません」
「そういう顔がそそるんだよ、ほら、こんな狼とかがよってくんだよ」
「誰が、狼ですか」
「オレだよ、ずっと手に入れたかったのに、いつも阿散井の方にいきやがって。もう、オレのものだってわからせてやる」
「なっ・・・・・・たいちょ・・・や、やぁ」
「・・・もう、お前はオレのものになったんだよ、もうふらふらしてどこにもいくんじゃねぇ」


ビリビリときていた死覇装が破られ、あたしは目の前が真っ暗になった。・・・もう、あたしは何もできなくなった。




END...





05.10.16