今、思うと凄くつまらない。だって、今日は非番だけれど乱菊さんとか日番谷隊長は非番じゃない。つまんないぞー。本当つまんないぞー。家にいてもつまんない。 洗濯とか部屋の掃除とか一通り終わっちゃったから、暇。一言でいえば、暇。頭の中はそれしかない。 いつも食事するコタツ(あったかい!)に頭をおくと、蜜柑がちょこんと並んでいる。蜜柑は一日一個などと、自分の中で決めているので今は食べれない。さっき食べちゃったんだもの! たぶん、あの人は邪魔とかいうだろうけどあたしはソコに向かった。






「日番谷たいちょー!おはようございますっ」
「・・・帰れ」
「そ、そんなっ最初の言葉から冷たい・・・!」

まだ幼さが残る声に、あたしはショックを受ける。思っていたけど、本当に言うとは。隊長は目の前に大量な書類(いつも何かあるんだよね)を猛スピードで目を通している。 ここ、執務室に乱菊さんはいないようでどこか、外出しているようだ。相変らず、隊長はいつもここにいるような気がする。いや、いいんだけどさ。隊長だし。

、非番だろ・・・。さっさと休め」
「だって、暇なんですって!だから遊びにきたんです」
「オレは暇じゃない。帰れ」
「ひーどーいー」

オレは、酷くないと主張するが、帰れと2回も言われた。それで十分酷いと思われますが。あたしだけですか、こんな扱いされるのは。あたしは一応(自分的に)頑張って仕事してるんですけどね。何で、そんなに嫌がられる。何故だ!

「じゃあ、隊長。手伝いますから、ここにいさせてください!」
「・・・ほう、その言葉に二言はないんだな?」

急にあたしの言葉を耳にしてから、あきらかに態度が変わっている。しかも、ニコニコ(これは絶対に作り笑い)笑い、あたしに大量の書類を手渡す。・・・え、何コレ。あの隊長の目の前にあった大量の書類の約半分の厚さじゃないですかっ!? それを受け取らないでいると、隊長はさっさと受け取れ、とまるで態度が違って書類を押し付ける。・・・このチビ隊長めがっっ!

「・・・オイ、何かいったか?」
「いえ!何でもありませんでございますっ!(・・・え、何わかったの!?)」
「じゃあ、さっさとやれ」
「半分なんか今日無理ですからねっ」
「別にいい。明日もやってもらうから」
「・・・ひ、ひどっ」


あたしはしかたなく椅子に腰を下ろし、何センチかもいいたくないくらいの書類をバンと机に置いた。とにかく自分ができるかぎりの高速スピードで書類を読む。ひたすら読む。読む。よむ。よむ・・・。

「ねぇ、隊長」
「何だ、もう終わったのか」
「いくらなんでも、ありえませんっ」
「そうだな、お前がそんな器用だったら非番なんてやらねぇもんな」

いつも、何気に酷いことをいっているのをこの人は気付いているのだろうか。それで、玉砕した女の子達はたくさんいるのに。可哀想で可哀想でしょうがないなぁ。確かに隊長は端から見ればカッコイイと思う。けれど、この減らず口は直した方がいいんじゃないのですか・・・。


「・・・可哀想、だなぁ」
「誰が?」
「日番谷隊長のことが好きだった人たち」
「ぶっ!な、何でそんな奴がでてくんだよ」
「いや、なんとなく思って」
「・・・で、お前が話したかったのはそのことか?」

それだったら、今からもっと書類増やしてやろうか、なんて瞳でいっている。わかったから、そんな瞳で見ないで下さい。はい。その前に、そう思わせたのは隊長のせいなのに。うん、何か言い返す気もなくなった。


「そんなんじゃないですって。明日世界が滅んだら、どうします?」
「・・・なんだよ、いきなり」
「だってあるかもしれないじゃないですか。隊長は何するのかなぁと思って」
「別に考えることもねぇな」
「・・・なんですか、それ」
「最後くらい、大事な奴といたいって思うのが普通じゃねぇか?」
「く、くさいっ!」
「おめぇがいわせたんじゃねぇかっ!!」

いきなり、隊長の顔がボッと赤くなる。こういう反応は隊長可愛いなぁ、なんて思ってみたり。だって、ね。あの仕事の鬼みたいな感じの隊長が、そんなクサイ台詞いうなんてっ。・・・ああ、何でだろうね。可愛い。

「・・・そっか。だったらあたしと一緒ですね」
「こんな所で気が合っても嬉しくねぇな」
「悪かったですね」

あたしと隊長は、よく分からないが気が合うことはあまりない。なんていうか性格の違い、とか乱菊さんがいっていた気がする。まぁ性格は正反対といっても無難じゃないと思う。だって、あたしは実際めんどくさがりやだし。隊長はしっかりしているし。反対といってもいいんじゃないかな。 でも、隊長も大切な人がいるんだ。・・・はぁ、あたしも好きだった人に含まれるのか・・・。いずれ分かるときがくるだろう、隊長が好きな人。

「・・・本当に明日、世界が滅んだらお前はどこの奴といるんだ?」
「たぶん、無理でしょうね。一緒にいれないと思いますよ。だって、その人すごくもてるから」
「ふぅん。報われないな、お前も」
「お前も、って隊長もですか?」
「・・・ソイツのこと全然わかってないからな、オレは」
「うわぁ、意外。隊長って自意識過剰だからその人はオレが好きだ、なんていうかと思った」
「オイ、お前どういう偏見してんだ、オレに」

だって、日番谷隊長はとにかくかっこいいから、隊員からは慕われているし人気でもある。だからこうやって会話できるのはあたしの楽しみの一つ。仲良くなかったら、こんなに執務室に顔出せない。好き、なんて自覚したのはいつだったかな。・・・でも、もう気付けば隊長に恋していたんだ。いつのまにか。本当に隣にいたい存在ができた。

「まぁ、明日滅ぶ、なんてないですから。変な話してごめんなさい。書類に集中しましょう!」
「・・・お前、勝手に話終わらせんな」
「え?」
「いえよ、その相手。オレがなんとかしてやる」
「・・・いや、そんな迷惑かけれない・・・」
「オレがむかつくんだよ!さっさと言え!」
「た、隊長・・・で、す、けど・・・」
「・・・なんだ、オレか・・・って、は!?」
「冗談です。隊長じゃないですよ、安心してください」

無理に作り笑いをしたが、そんな笑顔はすぐにばれてしまうわけで、作るなよ、と隊長に言われた。全てお見通しなんだ、あたしの好きな人以外のことは。



「・・・隊長ですよ、本当に」
「え!?」



本当に驚いた顔をして、こっちを振り向く。いつもの仕返し。のはずだけど、隊長は何故かこっちをみてニヤニヤしていた。


「・・・オレも、隣にお前にいてほしいよ」




その言葉にときめいたあたしってまだ恋する少女だよね。




    破滅したとして
どうしても、この気持ちを貴方に伝えることができなくて、でもそれはむしろ簡単なことだった