「あの、利央」
「え、何?
「いや、なんでも、ない」

俺の彼女は同い年で同じクラスで同じ部で、すんごい可愛い。というか、不器用ではっきり物がいえない(たまに、だけど)だからすんごい可愛くて仕方が無い。でも、ね。俺も一応高校生なわけ。結構悩むわけ、こんなに可愛い彼女がいたらフツー、はさ思っちゃうわけ。だから、先輩達に相談してみた。


「えー?に手が出せないって?」
「そ、そんなこといってないですよ、慎吾さん」
「ようはそうだろー?はまぁ可愛いし、人気あるだろうな。別に女だってそういうの考えてるだろ」
「・・・そーゆーけど、俺は・・・」
「ふーん。大事にしたいってわけか。利央も純情だな」
「慎吾さんはそういうのないからわかんないっスね!」
「うわ、その一言キツッ!」
「もう慎吾さんなんかに相談なんかしませんー!」

慎吾さんに相談してみたものの、やっぱりこういう発言が返ってきた。そりゃあ、慎吾さんは経験してるんだろうけど、俺はそんなのない。が初めてだった、付き合うの。女に興味なんてなかったし、可愛いなんてそこまで思ったことがなかったから。でも、付き合ってキスもしないで手を繋がないなんて、ありえない。なんていうか、手を出せないとかいうか可愛すぎてできない、というか。そのことを準さんにいってみた。

「・・・ノロケはいらねぇ」
「ノロケじゃないっスよ!だからー」
だって寂しいんじゃねぇの?だって、付き合ってキスしねーなんて」
「・・・」
「まぁ、お前だって、のこと好きなんだし。それくらいはしたら?」
「したらって、簡単にできたら苦労はしてなぁーい!」
「・・・はいはい、れんしゅーれんしゅー」

バタン、と勢いよく部室の扉が閉められた。準さんはただ言いたい事をいって出て行った気がする。まぁ、慎吾さんよりはマシかなと思った。そして部活が終わって、帰り道。は野球部のマネージャーなのでいつも一緒に帰る。でも、一緒に帰ったといっても、手を繋ぐ、なんてことはなかった。

「・・・あの、利央?」
「え、ごめん。何?」
「なんかボーッとしてたから」
「ああ、ちょっと考え事・・・」
「・・・ごめんね、利央。あたし何にも話せなくて。好きな子できた?」
「へ!?」
「なんかあたしといて楽しくない、みたいだから・・・」

俯いて必死に言葉を紡ごうとしている姿を見ていると、本当に可愛い。楽しくない、というかのことを考えていたわけで。だから、なんていうのか、楽しくないなんてことはない。だって、といれるんだから。だから、そんなことを思っていないのに、彼女に不安にさせていたんだ。それは事実。

「・・・利央は、手繋いでくれないし、キスしてくれないから。遊びになのかと思って」
「そ、そんなことない!」
「でも・・・利央楽しく女の子と話すんだもん。あたしと違って」
「俺、が一番好きだよ。手だって繋ぎたいし、キスだってしたい。本当はしたかった」
「・・・え?」
「だって、なんていーかが悪いっ」
「え、え?」
が可愛すぎるから、俺の手で壊したくなかったんだよ」
「・・・いいよ、利央の手であたしを壊して」

真っ赤な顔した彼女が云う。そんなことを云われたら俺は、そうするしかないんだ。無茶苦茶にしてやりたくなる。だって、彼女を壊さなくちゃ俺のものにならない気がするから。だから、我慢していたのにそんなこといわれたら。

「・・・ん」

触れるか触れない程近くにあった小さな手を掴むと、彼女の朱色の口唇に口付ける。ここが外じゃなかったら、やばかったかもしんない。キスだけでも堕とす彼女はある意味凄い。なんだか、夜空で光る月と今見えない太陽が俺を見て、笑っているような気がする。


太陽が輝くまで